★風神・雷神・変神

 
これは まだ大陸もなく
生きものもまだいない
そんな大昔のお話し。

 

海にぽつりと小さな小島がありました。
そこには変神という変わり者の神様がひとり
住んでおりました。

「ああ、たいくつだなあ。なんかおもろいことはないもんか。」
あくびをしている変神にいたずら好きの風神が
近づいてきました。

オオオオオオオオオオオオオ! !

風神のうちわで竜巻きがおこると、変神は
はるか雲の上まで飛ばされてしまいました。

目を回していた変神があたりを見渡すと雷神が寝ています。
雷神はここの三人の中では一番のおこりんぼ。
うかつに怒らせると嵐をおこされます。
でも、どうしたことか・・・変神は
雷神の脇の下をくすぐり始めたのです。

「ぐ・・ぐふ・・・・・くくく・・・・・・・ぐおーっ!!

よせばいいのに、とうとう雷神が起きてしまいました。
「きさま、なんの恨みがあるんだ ! 思い知れえぃっ!」

バリン バリリリン ! !
がらがら ごろーん! ! !

いなびかりを受けた変神は、まっさかさまに落ちていきました。
ひゅううううううう・・・・べちょ!


「・・・・・・・・・・・・・」
もといた小島にたたきつけられた変神がトマトのようにつぶれます。


でも、だいじょうぶ。
変神は自分のからだをどんな形にも変形できるのですから・・
変神は変身できるのです。

「やれやれ・・相変わらず雷神は気が荒いよな・・・」

しばらくすると雨が降ってきました。
しと・・しとしと・・・・・・ぴちゃ・・ぴちぴちゃ・・

ざざざあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・

変神に雨水がしみ込むと、ねんどのように
ネバネバしてきました。
「うん? ほほう・・これはおもろい!」
変神は自分のからだの一部をもぎとると両手でコネコネして
トカゲのようなものを造りました。

「おおっ! これはとんでもなくおもろいっ! !」
変神は面白がって、どんどんいろんなものをコネコネしました。
トリのようなもの、ブタのようなもの、そういうものを
どんどん造っていくうちに・・・自分のからだが小さくなっているのに
変神は気がつきました。

「まぁ・・いっか・・・」
変神のまわりには、いつの間にか大小様々な生きものが
産声をあげるようにうごめいておりました。
「仲間ができて、うれしいな♪♯♪♯♪」
変神は みんなといっしょに踊りだしました。

もう、お気付きかもしれませんが
変神とは・・・・・土の神だったのです。

土神は自分の小さくなるのには構わず、さらにいろんなものを
造っていきました。そうして、最後にひとつぶのうれし涙を落とすと
そこから花が咲き、森が広がっていきました。

「もう、おいらは十分楽しんだ・・あとは仲良く暮らしてね。」
いつの間にか雨は止み、太陽がさんさんと小島を照らしました。
とても小さくなった土神は、ひからびてチリになり大空に舞いました。

風神がやさしいそよ風を送ると、土神の声がしました。
「おいらは別の島に行ってくるよ、みんな元気でねぇ。」
どこかに流れていく土神の声を聞きながら
風神と雷神は涙ぐんでおりました。
「ああ・・本当はいいやつだったんだな・・・・・」

小さな小島は、風神と雷神に見守られながら
いつまでも栄えたそうです・・・・
むかし、むかしのお話しでした。

 

 


(あとがき)

いろんな宗教話しにでてくる「神」の存在とは、どんな人が創り出した
のだろうと考えていて、思い付いたことを載せてみました。     
これは宗教を否定するものではなく、生きものの原点はどこにあるのか
をイメージしたものです。                    



風神・雷神・変神
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